FC2ブログ
トキワ、シュウマツドリ
創作置き場
晴天の下の処刑台
好き。
目を見開いて、声も出ぬほどに恐れ慄いている。貴方が好きだ。
僕は多分、人生最高に幸せな笑みを浮かべているだろう。身体が弾け飛びそうに、幸せな気分だ。
この腕には、首には、身体には、貴方に捧げた傷跡が、まだ生々しく残っているだろう。どれもこれも、軽々しく思い出と呼べない、宝物だ。
「貴方は僕のことが嫌いだね。言わないでもわかるよ?だってそんなにも、嫌悪を僕に向けて」
貴方は何も言わない。ただ呆然と僕を見て、何が起こるのかを理解できずにいる。
貴方は優しいから、誰にでもそうなのだ。本当は内心、僕のことを気味悪がっているのだ。僕には分かる。
僕はこんなにも好きなのに。貴方は馬鹿げてる。この愛に、対価も払わないで、僕には嫌悪しかくれやしない。
悪いのは貴方だ。貴方は悪で、この世の全てから嫌悪されるべき存在なのだ。
それなのに、何も知らないような顔をする!
「今更止めてももう遅いよ?貴方は罪を犯したんだから。今から償ったところで、もう手遅れなんだ」
僕は今から、貴方を処刑する。処刑とは言え、死ではない。死よりももっと苦痛で、屈辱的で、恒久的な痛みだ。
きっと貴方は、その光景を忘れないだろう。貴方の心に一生残って、人生を支配するだろう。
貴方は自分を責めるだろうし、きっと自分を恨むだろう。
貴方はもう僕を忘れられないし、忘れるなんて許されない。僕は一生貴方を縛り続けるし、貴方は一生その罪をその身に宿して、そして死を迎える。
後悔は、懺悔は、神には届かないのだ!貴方を赦す神など、いないのだ!
軽快なメロディは、神聖な儀式に相応しい、賛美歌のよう。騒めきは、僕らを祝福しているよう。
大きく息を吸い込む。そろそろ、運命の時は近づいてくる。
嗚呼、相変わらず貴方は可愛い。吐き気がするほど、僕は貴方が好きだ。
とびっきりの笑顔で、安らかな微笑みで、僕は貴方を処刑する。
「さようなら、憎くて、恨めしくて、大嫌いな貴方。愛していましたよ」
時速110キロの鉄塊に、僕という人間は、簡単にただの肉の塊になる。
貴方が理解したように、僕に手を伸ばしたその顔が、びっくりするほど愛らしくて、僕の意識は幸福で弾け飛んだ。
関連記事
スポンサーサイト



[2016/05/22 18:33] | 小話 | トラックバック(0) | コメント(0)
<<-Prologue- アルマースの狼 | ホーム | 視る者と観る者>>
コメント
コメントの投稿














管理者にだけ表示を許可する

トラックバック
トラックバック URL
http://blacktime777.blog.fc2.com/tb.php/320-5355a857
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
| ホーム |
プロフィール

砂糖娘 

Author:砂糖娘 
ツイッター→@IchiMiya131
気の向くまま、なんかのろのろ更新してます。
純愛もドロドロも好きです。

最新記事

最新コメント

最新トラックバック

月別アーカイブ

カテゴリ

アクセスランキング

[ジャンルランキング]
小説・文学
3048位
アクセスランキングを見る>>

[サブジャンルランキング]
オリジナル小説
714位
アクセスランキングを見る>>

検索フォーム

RSSリンクの表示

リンク

このブログをリンクに追加する

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード

QR