FC2ブログ
トキワ、シュウマツドリ
創作置き場
美しいひとの話



美しいひと。

彼女のことをどう思うか。
そんな質問を受けて、僕は迷わず答えた。
恐らく、僕の言う「美しい」は、質問者である彼と同じ概念だろう。
生々しい。人間らしい。彼女と触れ合うと、生の人間を感じる。王でありながら、臆病、卑屈で自尊心が低い。誰一人の人間すら信用しない。それを、途方も無い努力で埋め合わせようとする。
だが、僕が彼と違うと感じるのは、彼女がまた、人間らしくないと思うことだ。
強いて言うなら、「化け物のような人間」。口に出せば、多分不敬罪で物理的に首が飛ぶだろうけれど。
僕が「人間のような人で無し」であるように、彼女は「人で無しになった人間」なのだろう。人間でいて、人間でいない。その逸脱に、彼女だけの美しさがある。

扉を開けると、彼女と目が合った。ゆるく微笑まれたので微笑み返す。その真紅の瞳に宿る熱は無いし、その心は此処には無い。別のことを考えている。

「陛下、何か、考え事でも?」
「ふふ、いやーーなんでもない。それよりペルラ、タンザを呼んできてほしいんだけど」
「ええ……彼女、カッツェさんを怒鳴りつけてましたけど」
「また義兄上か……うん、いや、兄って呼びたくない。取り敢えず、程々にして外出の準備をするように伝えて欲しい。ペルラ、君も準備してね」

くるくると表情を変え、最後にふわりと笑う。開け放たれた窓から吹き抜ける風が、柔らかな金髪を靡かせる。天性の美を兼ね備えた彼女には、神秘的な美しさがある。唯、その心は此処にはない。
王の心は、此処にはない。
人であるよう装った人で無しのように。それが僕には、震える程に美しく感じられるのだ。

美しいひと。
貴方はきっと、変わることなく美しくあり続ける。
きっと、人を演じる人で無しであり続ける。
その心は、とうの昔に何処かに置き忘れてきたのだから。
スポンサーサイト



テーマ:自作小説(ファンタジー) - ジャンル:小説・文学

[2017/01/21 23:20] | ダイヤモンド・ライト | トラックバック(0) | コメント(0)
| ホーム |
プロフィール

砂糖娘 

Author:砂糖娘 
ツイッター→@IchiMiya131
気の向くまま、なんかのろのろ更新してます。
純愛もドロドロも好きです。

最新記事

最新コメント

最新トラックバック

月別アーカイブ

カテゴリ

アクセスランキング

[ジャンルランキング]
小説・文学
3048位
アクセスランキングを見る>>

[サブジャンルランキング]
オリジナル小説
714位
アクセスランキングを見る>>

検索フォーム

RSSリンクの表示

リンク

このブログをリンクに追加する

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード

QR